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【怖い話 実話】「あれが、死神ってものかもしれないなあ」短編 まとめブログ

高所から転落する人間がどうなるか---ごぞんじ

だろうか。もちろん、最悪の場合は死んでしまう。

では、それ以外の場合は?

たとえばビルの四階から、飛び降りたとしよう。

IMG_1658s.jpg


個人差はあるだろうが、足から落ちたとすると、

骨盤骨折と両足の裂傷はさけられないはずだ。

足底は、パックリと割れてしまうだろう。

傷口からは、脂肪が小さな黄色い卵の

つぶつぶみたいに、のぞくわけである。

それも最初のうちだけで、すぐに出血で

真っ赤になり、つぶれた果実と

そう変わらなくなる。

……とび職をしていた葉山さんは、

ビル建築現場から転落して、

九死に一生を得た。

よく人間は事故などに遭った時、

死ぬまでの短いあいだにフラッシュを

焚くようにして、

それまでの人生を振り返るという。

葉山さんの場合には、地面に

激突するまでの時間が

異常に長く感じられるという形で、

それはあらわれた。

なにしろ、落ちている最中に、

「まだ落ちないのか」と、

上下左右を見回す余裕が

あったというから、驚きである。

たった数秒の間に、葉山さんは

自分を見て驚いてわめいている

同僚の様子や、

たまたま自分が転落するのを

目撃した通行人たちの様子を

はっきりと覚えていた。

あとで確認したところ、彼の証言と

目撃者の証言とはピタリと

一致していたそうなのだ。

ところが、その証言のなかで、

一つだけ一致しないものがあった。

彼の事故現場の向かい側には、

もう一つ建築中のビルがあって、

こちらはほぼ完成していた。

内装こそまだだったが、すでにビルとしての

体裁はととのっていて、作業員の

数もずいぶん少なくなっていた。

そのビルの三階の一室に、窓に

そって人間が鈴なりに

並んでいたというのである。

そして、落下していく葉山さんを

それぞれが指さして、

とてもおもしろそうにげらげらと

笑っていたというのである。

白い歯を、むきだしにして、げらげらと---。

もちろん、笑い声まで葉山さんにとどくわけはない。

それぞれの顔もこまかく見て取ったわけでもない。

というよりは、仮に近くで会ってもすぐに

忘れてしまいそうな、

没個性的な顔ばかりであったという。

それらのことを葉山さんははっきりと

覚えているし、

ビルのどの部屋であったかも指摘できる。

だが、テナントが入れるような

状態からはまだ遠いそのビルは、

事実を先に言えば、そんな大勢の人が

一室にいるわけはなかった。

いるとしたら作業員だが、

葉山さんの話ではぜったいに

作業員の服装ではなかったということだ。

また、作業中の彼等が一室に

集合していたということも考えにくい。

まして、窓際に鈴なりになって、

死ぬかもしれない人間を

笑いながら見物するなど---。

では、葉山さんが目撃したものは

何だったのか。

まぼろしや見間違いでないとすると、

それは………?

 「………そういうものが、

いるかいないかなんて、

考えたこともなかったけどね」

命拾いをしたかわりに、最初に

説明したような負傷をした葉山さんは、

最後にポツリとつぶやいた。

「あれが、死神ってものかもしれないなあ」


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コメント
非公開コメント

No title

カマはもっていなかったんでしょうか^^

2017-05-10 22:08 from moon

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