タビーという名前の犬を飼っていました。 - 怖い話 実話【短編・長編・都市伝説・超怖い話・怪談】まとめブログ

タビーという名前の犬を飼っていました。

従姉妹の家で起きた話です。

従姉妹

(仮に桂子さんとします)の家では、

タビーという名前の犬を飼っていました。


IMG_1328s.jpg


わたしも何度か撫でてやった事があります。

秋田犬っぽい雑種で、人懐こく愛想のいい

可愛い犬でした。

全身薄茶色なのですが、なぜか後ろ足2本だけ、

靴下を履いたように足先だけが白かったのも

可愛く思えました。

桂子さんが5歳の時にお母さん

(わたしから見て伯母)が近所で、

産まれてようやく目が開いたばかりの

仔犬をもらってきたのですが、

一番人懐こくて寄って来る仔犬の足が

白いのを見て、

「この犬、靴下履いてるみたいねえ」

と抱き上げると、なぜか飼い主は

申し訳なさげに、

「そうなの。白足袋履いて

産まれてきちゃって・・・・」

と言いました。

なんでも、足先の白い犬や猫は不吉らしいのです。

「でもイギリスでは確か、ホワイトソックスって

呼んでて幸福をもたらすって

言われてんだけどね」

それを聞いた伯母は、占いや縁起物は良い事を

言っているものしか信じない人だったので、

その犬をもらったそうです。

そして最初は立派な名前(スバルとかシリウスとか

そんなのだった)を付けていたのですが、

伯母はいつも「シロタビちゃん」と呼んでしまい、

結果ご飯をくれる伯母の呼び名に反応するので、

『シロタビ』から変化して『タビー』に

なったそうです。

タビーはいつも、はにかんだ様なニコニコした

顔をしてすぐに懐くので、

通りすがりの人からも可愛がられ、

郵便や宅配の人にも甘えるので、

「おまえは防犯にはならんなあ」

と苦笑されていました。

そして家族の一員として

長年愛されていたのですが、

桂子さんが大学受験の為、京都に

泊まっていた時期に突然い

なくなってしまったそうです。

伯母は、受験に差し障りがないよう

桂子さんには内緒にしてあちこち探し回り、

他の区の保健所も見に行ったりしたのですが、

結局見つかりませんでした。

戻った後にそれを聞かされた桂子さんも、

手書きで尋ね犬のチラシを作って電柱等に

貼りましたが、

タビーは戻ってきませんでした。

一家全員が悲しみました。

かなり老犬になっていたので、

事故にでもあったんじゃないか・・・・

いや、人懐こいから誰かに

可愛がってもらっているかも・・・

あまりにショックでその後ペットは

飼いませんでした。

それから7年経ちました。

桂子さんは大学を卒業し、OLになり、

めでたく結婚が決まりました。

女子大生の頃から一人暮らしして

いたのですが、

結婚式まであと1ヶ月になった時期には

準備などの為アパートを引き払い、

実家へ戻って親と同居していました。

桂子さんはその日、結婚相手と挙式予定の

ホテルに行き、打ち合わせをして帰りました。

門を開けた途端、突然凄まじい勢いで犬に

吠えられました。

驚いて立ちすくんでいると、伯母が

玄関から飛び出してきて、

「桂子、ほら!タビー戻ってきたよ!」

と嬉しそうに叫びました。

よだれを垂らしながら怒り狂って吠え立てる犬。

それは確かにタビーでした。

姿かたち。

ボロボロに擦り切れているけれどタビーが

していた緑の首輪。

そしてなにより、白足袋。

タビーそのものなのですが、吠える

姿は別の犬としか思えません。

「タビー?」

恐る恐る桂子さんが呼びかけると、

『タビー』は吠えるのをやめ、

桂子さんの顔を見つめると、

ゆっくり尻尾を振りました。

伯母は大喜びで、

「買い物から帰ってきたら、庭の

真ん中に座ってたのよ!

最初は吠えたんだけど、タビーって

呼んだら寄ってきて手を舐めたの!

タビーよく帰ってきたねえ」

と『タビー』の背中を撫でました。

桂子さんも一緒に撫でてやりましたが、

この犬は違う・・・・と感じていました。

物理的に、もしタビーだとすると20歳。

残念だけどもう死んでいるはずです。

それに今は落ち着いて撫でられているけど、

さっきの吠え方・・・・・

「似てるよねーほんとびっくりした・・・・・

ほんとタビーそっくり・・・・・」

桂子さんが呟くと、伯母はたしなめるように、

「タビーよ?」

と言いました。

しかしやはりそれはタビーとは

思えませんでした。

目つきが凶暴で、普通に座っていても

絶えず神経を尖らせているようで、

誰かが傍を通ると狂ったように

吠え立てました。

念のため、獣医さんに狂犬病の検査や

予防接種をしてもらいました。

歯の具合から見て、犬の年齢は12、3歳

だろうと言われたそうです。

わたしと母も『タビー』を見ました。

桂子さんの結婚式に出席するため、

前日から桂子さんの実家に泊まったのですが、

門を通った途端、激しく吠えられました。

その剥き出した歯や、こっちへ飛び

かかろうと上げた前足、

ビーンと引っ張った鎖がとても恐ろしかった。

母はもともと犬が苦手だったので手の

震えが止まらないほど怯えて、

「あの犬はタビーじゃないねえ」

とわたしに言い、わたしもそう思いました。

むしろ、あんなに可愛かったタビーの思い出が、

この凶暴な犬で汚されてしまったような

悲しい気持ちでした。

桂子さんは結婚し、隣の市で暮らし始めました。

伯母はみんなから「そっくりだけどタビー

じゃない」と言われながらも、

その犬をタビーとして可愛がっていました。

ところが桂子さんの結婚式から

2ヶ月ほど経った頃。

伯母が『タビー』を散歩させていると、

向かい側からベビーカーを押した

お祖母さんが歩いてきました。

ベビーカーの中で寝ている小さな赤ちゃん。

突然、『タビー』は凄まじく吠えながら、

赤ちゃんへ跳びかかりました。

激しい勢いで伯母は綱を離してしまい、

はずみで転倒しました。

お祖母さんが悲鳴をあげました。

「ほのちゃん!!」

ベビーカーに飛びついた『タビー』

から赤ちゃんを庇おうと、

お祖母さんは赤ちゃんに覆いかぶさり、

そのお祖母さんの肩に『タビー』

は乗りかかり・・・・・

伯母が我にかえって『タビー』の綱を

引き戻した時には、

既に救急車のサイレンが近づき、

肩が血だらけになってうずくまる

お祖母さんと、

声を枯らして泣き叫ぶ赤ちゃんを

呆然と見ることしか出来なかったそうです。

幸い赤ちゃんは擦り傷で済みましたが、

お祖母さんは7針縫う怪我。

その上入院中に体が弱ったのか肺炎を併発し、

退院後も何度もお見舞いに行ったのですが、

体調が悪いまま半年後、まだ60歳なのに

亡くなってしまいました。

その上、そのお祖母さんのお葬式に出たその日、

鎖に繋いでいたはずの『タビー』が首輪を

抜け出て、逃げ出したそうです。

人を襲った犬をのうのうと飼っていた上、

逃がしてどこへ行ったかわからない、

と近所から非難を受け、

嫌がらせもされたそうです。

そしてお葬式から3ヶ月ほどして、

今度は伯母が行方不明になりました。

桂子さんは現在妊娠中で、

孫の顔を見てほしい、

この子が産まれるまでに戻って

きてほしいと心配しています。

そんな桂子さんにとっては、

失礼だとは思うんですが・・・・・

伯母さんが戻ってきた時、姿かたちは

伯母さんのままでも、まさか・・・・・

わたしはそんなふうに考えてしまいます。

もしかして、・・・・桂子さん自身もそう

考えてしまっているんじゃないか、

とつい思ってしまうのです。


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